ロルフメソッドSIとは
What is the Rolf Method of SI?

ストラクチュアル・インテグレーションとは?

アイダロルフ博士ストラクチュラル・インテグレーションとは、米国の生化学者であったアイダ P.ロルフ博士によって開発された、身体の再教育のためのシステムです。カイロプラクティックやマッサージなど、他の手法と大きく異なる点は、筋肉や骨ではなく、筋膜と呼ばれる組織の調整に主眼を置いているという点です。

筋膜とは、骨・筋肉・血管・神経・内臓など私たちの身体を構成している器官の全てを包み込んで、それぞれの位置に支えている組織です。筋膜はよく蜘蛛の巣に例えられますが、これらの器官全てが筋膜のつくり出す複雑な網の目の中にはまりこんで支えられている所を想像してみれば、その理由が理解できるでしょう。筋膜とは、私たちの身体を支え、個人個人で異なる姿勢を形づくっている組織なのです。

筋膜画像ストラクチュラル・インテグレーションのねらいは、体中に蜘蛛の巣のようにはりめぐらされている筋膜を伸ばしたり、広げたり、本来あるべき位置に戻したりすることによって、身体の配列をまっすぐに整えることです。プラクティショナー(施術者)は両手や肘を用いてこの調整を行います。適切な圧力を用いて、筋膜に本来の長さや拡がりを与えながら、身体を中心垂直軸のまわりでまとめあげてゆきます。

からだの配列は、なぜ崩れてしまうのでしょうか?

からだの配列をくずさせる要因は実にさまざまですが、代表的なものには、重力による絶え間ない重圧、日常生活でのストレス、過去に負ったケガ、心理的なトラウマなどが考えられます。体内を縦横無尽に走り、身体を支えている筋膜は、硬くなったり縮んだりしたまま固まることで、その身体の配列のくずれを補おうとする性質があります。
この筋膜の性質が物語っていることは、“その人は、そのバランスのくずれを抱え込んだまま、それから先の人生をずっと生きてゆくことになる” ということです。つまり、ひずみやネジレがからだに定着し、それがその人にとっての基本になってしまうわけです。

このような身体の在り方は、エネルギーの極端な浪費につながっているだけでなく、やがて慢性的な凝りや痛み、不快感となってその人を襲います。また多くの場合、このような身体のひずみやネジレに対応したような影響は、その人の精神状態や行動、態度にも反映されるようになります。

ストラクチュラル・インテグレーションによって筋膜を整え身体をバランスさせると、動作はなめらかになり、活動に必要なエネルギーはより少なくて済むようになります。良い姿勢は人生におけるあらゆることをたやすくさせるでしょう。呼吸は深まり、全身をくまなくめぐるようになります。身体はより柔軟になり、各部の協調性は増し、身体機能の改善がもたらされます。そして、当然のことですが、このように身体が変化すると、その人個人の内面や生き方にも変化が起こるのです。


“Hip Work”
(c) Ronald A Thompson

肋骨の位置が変化すると、 呼吸が変化します。ストラクチャル・インテグレーションの第1回目で、私たちが身体の右側から働きかけ始めたなら、その人は、右側の呼吸が変化してゆくことに気づくでしょう。1.5倍もの空気が、右側に入ってくるのを感じるでしょう。

後々になると、この人には心理的な変化が訪れるのですが、すぐに見て取れるのは、彼がより多くの空気を吸い込んでいるということです。そしてこれは、誰にでも経験されることなのです。

肺によりたくさんの空気が取り込まれ、その交換も早まると、身体の中の全ての細胞の化学的性質が変化することになるということさえ理解できないほどに、化学についての知識が乏しい人はいないと思います。まさに私たちは、ストラクチャル・インテグレーションの第1回目、初めの10分間で、身体の中の全ての細胞の化学的性質を変化させ始めているのです。これは途方もない主張のように聞こえるかも知れませんが、他に何を主張しろというのでしょうか。

皮膚はにわかにピンク色になります。潤いは少し増しているかもしれませんね・・・ 皮脂腺が働いているのです。私たちは、これら全てを見てとります。そして、本人はすべてを感じるのです。私たちが、右側と左側との違いを感じる時間を、その人に与えたなら ――

アイダ P.ロルフ

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